✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
完全にフラれたからって金魚ライフなんてらしくないと奮起し、新たな未来"紫音と幸せな結婚生活" を信じて沖縄まで来たというのに、土壇場でのこの有様に情けなくも再び心が揺れ動き出してしまった。

……身体って正直。

震える一本の指先にしみじみそう思う。

紫音のことは、大好き。

この五年間いつも笑って傍にいてくれて、誰よりも気に掛け支えてくれた。

女友達よりも気楽で楽しくて信頼出来る紫音を、今度は私が支えて幸せにしたい、二人で幸せになるって決めたのに……のに……恋じゃない。

やっぱり恋してないのに結婚なんて、抱かれるなんて出来ない!

今尚、私の胸を砂の粒ほどの隙間もなく独占するのは、朝陽君だけと気付いてしまったから。

いくら紫音が、二番目でいい、傍にいてくれるだけでいいと言っても、こんな気持ちで紫音と結婚するなんてやっぱり駄目!

私のバカ……七夕の約束なんてするんじゃなかった。

……でも命を掛けて私を守ってくれた紫音のたった一つの願いを叶えてあげたかった。

……脳裏にあの悪夢のような一夜が甦って来る。
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