✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
私は、再び深々と土下座した紫音を絶句状態で見続けた。

その姿を目にしても尚実感出来ず、紫音への罪悪感が抜け落ちる事に何より安堵し二本目のビールを一気に飲み干した。


「うま。……顔上げて」


少しずつ顔を上げた紫音は泣いて謝る子供みたいに情けなく、つい苦笑いしてしまった。

そんな紫音が可愛くて彼の背後に回り震える肩に手を置くと、私まで涙腺崩壊し始めた。


「……泣かないで。私だって紫音に逃げて甘えて傷付けた」


「確かに現実逃避しまくり」


「……俺のが悪い。ブルーになってつい巨乳に……」


「確かにBカップ莉子への冒涜」


私は、さっきからソファーで偉そうにふんぞり返りスラリ美脚を組み、チャチャ入れる菜緒をジロリ睨んだ。


「莉子、命のマスカラ地滑り中」


「もううるさい! どうせ私は、アラサー貧乳地滑り女。胸もお尻もどんどん垂れてくのっ。……わぁ~ん!」


すっかり酔いが回り爆発的に泣き始める私に連鎖したように、紫音も号泣し始めた。


「揃って子供かっ! ……紫音も飲んでたか。……もう泣け泣け!」


飲むと泣き上戸の私達は、菜緒の許可に安心したのか、なりふり構わず延々と泣き続けるのだった。
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