最期の日、ふたりきりの世界で

「叶ちゃんはね、病室を出る前に私に言ったの。
理生のお母さんとお父さんにごめんなさいって伝えてって言ったの。それからね......」

“理生に、幸せにねって伝えてください。私にはもう、理生の横にいる資格はないので、離れます。ありがとうございました。”って言って、帰り道に刺されたの。




知らない間に涙が頬をつたっていた。

叶がそんな風に思っていたなんて知らなかった。

叶が死んだなんて信じたくなかった。知らなかった。


というより、忘れていた。


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