甘い毒に溺れ堕ちて
「甘い卵焼きかぁー」

「夏目くんは、甘いのとしょっぱいの、どっちが好み?」

「しょっぱいほう。嫌いじゃないけど、甘さがあるとデザートっぽく感じるから。2人はどっち派?」

「私はだし巻き派! お菓子はお菓子で好きだけど、食欲が湧くのはしょっぱい味付けなんだよね〜」

「わかる。甘いのが続くとなんかどっきりするというか。あっさりしてると無限に食べられるよな」

「そうなんだ。私は甘いほうが好きかな。私は逆で、デザートがない時の代わりみたいな感じで……」



答えていたら、ふと記憶がよみがえる。


隣の席の子の弁当箱にうさぎの形をしたりんごが入っていて、羨ましさを感じた幼稚園時代。

小学校と中学校はたまにデザートが出ていたけれど、社会科見学の時、いちごやバナナなど、フルーツを持ってきてる子がいて。

『1人で食べきれないから』って、みかんを一房ずつ、みんなで分け合って食べたっけ。



「成見くんと夏目くんは、同じ小学校だったんだよね? 給食の時ってどんな感じだった? めちゃめちゃおかわりする人とかいた?」

「いたいた。俺がその1人なんだけど。牛乳とかプリンとか、休みの人の分のはよく食べてた」

「勇雅、じゃんけん強いからさ。『また食うのかよ〜』って出るたびに嫌な顔されてたよな」

「へぇ〜。食いしん坊だったんだね〜」

「その頃、体操教室通ってたから。食べても食べてもお腹が空いてたんだよ。今も現役だから食欲は倍増してるけどな」
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