甘い毒に溺れ堕ちて
嘘です。いや可愛いと思ったのは嘘じゃないけど、本当は仕返しのつもりで撮りました。誰にも見せる気はなかったんです。私だけの密かな楽しみにするつもりでいました。

そう白状するべきなのだろうけど、反撃が怖いので心の中に留めておく。



「ごめんなさい……。写真は消すから……」

「いや、いいよ。消さなくて。けどその代わり──」



腕を強く引っ張られ、薄い胸板に飛び込むように倒れた。

ほんのり汗ばんだ石鹸の香りが鼻を掠めた直後、藍くんは私を抱きしめると、ごろんと寝転がり……。



「迎えが来るまでここにいてもらうから」



視界にうつる白い天井。
後頭部と背中に触れている柔らかい感触。

状況が完全に整理しきれていないけれど、藍くんが私に覆いかぶさっていることは理解できた。



「迎えって、ご家族?」

「ううん。やまもっちゃん。自転車で帰るのは危ないからって、今家に軽トラ取りに行ってる」

「へ、へぇ」
< 271 / 374 >

この作品をシェア

pagetop