甘い毒に溺れ堕ちて
私の声に被せるように、父がバンッとテーブルを叩いて膝立ちする。



「確かに、毎日豪遊したり贅沢できるくらいの余裕はないが、進学資金は貯めてるぞ」

「ほ、ほんとに?」

「ああ。真彩が赤ちゃんの頃から毎月貯めてる。この際だから言うけど、小さい時にもらったお年玉もその中に入ってるからな」

「おれのぶんも?」

「もちろん! 晴日も晴月も、風斗の分も。みんなそれぞれやりたいことに挑戦できるように、ちゃんとお金は確保してる」



大黒柱から語られた真実。どれも1回で呑み込むには難しいくらい信じがたいものばかりだった。


共働きなのは、家庭を維持するため。

買い物した時、毎回レシートの提出が義務づけられているのは、無駄な支出を抑えるため。

母がやたらお金に厳しいのは、一家全員の生活を守るためだと思っていた。


でも……よくよく考えてみたら、本当に困窮しているのなら、3人の子どもを私立の幼稚園に通わせるなんてできるだろうか。


習い事も、小学校受験だって……。



「なんだ、うちが貧乏だと思ってたのか?」

「いや……お小遣い少なかったから……」

「いくらもらってるんだ?」

「っ、3000円……」

「少なくはないでしょ。妥当な金額よ」
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