その海は、どこまでも碧かった。
碧くんに電話した
「もしもし碧くん」
「海、見えた?」
「うん!見えたよ!
綺麗だった
ありがとう!」
「17歳だから17発」
「碧くん、バイトだったんでしょ?」
「まったく…
めちゃくちゃ忙しかった
朝、アレからケーキの材料買って作って
急いでバイト行って
バイト終わって花火買いに行ったけど
この時期17発なんてなくて
3軒はしごしたわ」
「嬉しかったよ!
ケーキもおいしかったよ」
「なら、サプライズしたかいがあった」
「サプライズ
もしかして、私が言ったから?」
「そーだけど…
サプライズしないから彼女できないって
海に言われたから…
コレで彼女できるんだろーな!」
「碧くん、彼女欲しんだ」
「別に…
いらねーけど…」
「碧くん、強がってる
…
碧くん、ホントにありがとね
最高の誕生日だった!」
「うん
海が喜んでくれたら
彼女なんていらない」
「碧くん
ずっと近くにいてね…」
「フ…なに?
いたくなくても
オレはいつもの場所にいるから…
そこしかないから…」
遠くなった気がした碧くんは
やっぱり近くにいた
「碧くん!ありがと!」
「海、声デカい
耳痛いけど!」
スマホを通してでも
碧くんの近くにいたい
「海、17歳おめでと」
碧くんの声が
優しく近くで響いた