ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜




ハワイ便は、夜10時に羽田出発。
一旦家に帰って、シャワー浴びても充分間に合う。

はず。

「あ、二葉先生」

なんと、医局に事務部長の姿。後ろには秘書の女性も連れている。

「小児科で、夏休み取得第一号ですよね?明日から。大丈夫ですか?ちゃんと休んで下さいね」

優しく声をかけてくれた。もしかしたら、夏休みが取りにくいと思って、声をかけてくれたのかな。事務部長、めちゃくちゃいい人。

「大丈夫です。ちゃんと、休みます」

「とにかく。トップバッターの二葉先生がきちんと休みに入って下されば、後も続きます。
ここの病院の皆さんはお人好しなのか、休まないことを『美徳』としている風潮があります。それは、悪しき風潮ですから」 

事務部長の後ろに控えていた秘書の女性が抑揚の少ない口調で言った。
きつい言い方。無表情。まるで機械のように無駄のない動き。
この秘書の女性は、なんだか怖い。

「ですから、さっさと早く上がって下さい、二葉先生。
事務部長、次、行きますよ」

「はーい。では、二葉先生、お疲れ様でした。よい休暇をお過ごしください。英気を養ってきて下さいね」


ふわりと優しく微笑み、温かい言葉をかけてくれた事務部長。綺麗で優しくて、本当にいい人だ。
その後ろで秘書の女性は、医局を見渡しながらタブレットで何かを確認している。こちらは仕事の鬼なのか。もう、迫力というか佇まいが怖い。


二人を見送ると、思わずふうっと息を吐く。ずっと息を詰めていたことに気づいた。
そんな私を隣の席の長野先生が笑い飛ばす。


< 10 / 234 >

この作品をシェア

pagetop