ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜

あなたの為の、時間はない

通常の仕事をしていれば、事務部長に会うことはまずない。
朝起きて、話したそうな孝弘さんを避けながら職場に向かい、仕事は通常通り。今日は長野先生と交代で当直だから、帰らなくていい。


どこかアパート探そう。あの部屋にいれば嫌でも顔を合わせる。琴羽さんを褒めちぎり、顔を輝かせる孝弘さんをもう見たくない。


「二葉、今日当直になってるけど大丈夫なのか?」
「大丈夫です。ご心配には及びません。
お疲れさまでした、長野先生。昨夜はどうでした?」
「全然大丈夫だった。凜ちゃんの容体も安定していた。それより、顔色よくないぞ、二葉。やっぱり疲れが取れてないんじゃないか」

心配そうに言ってくれる長野先生。今までだったら冗談を言って返せていたのに、昨日のこともあって言葉に詰まる。
私を女性として意識してるって知ったら、今までみたいにはいられない。

「警戒するなって。取って食ったりしないから。ほら、火傷のガーゼ交換してやる。見せて見ろ」

あれ、長野先生いつもと変わらない。
意識してるのは私だけ?なんだか、バカみたい。

「痛むので、優しく替えてくださいね?」
「俺はいつでも優しいだろ?そうだ、キャラクター柄のガーゼにしようか?うさぎさんか、くまさんか」
「普通のにしてくださーい。みんなに笑われちゃう」
「じゃあ、花柄な。かわいいぞ?」

長野先生が用意してくれたガーゼは普通のただの白いガーゼ。そこに先生が大きなお花を書き込む。それが本当にへたくそで思わずプッと吹き出してしまう。



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