ツイてない！！〜But,I'm lucky to have you〜
案内された丹下さんの部屋は、四辻さんたちのスイートルームほどの広さはないものの、豪華な部屋だった。



部屋に入った途端、ぎゅっと抱きしめられた。息もできないほどに激しいキスの雨。
残った酒の力を借りてなきゃ、突き飛ばして逃げてしまいそう。
だって。
三十歳になろうという今まで、男の人とキスどころか付き合ったさえことないんだから。
この先どうなるかは、知識としてしか知らないこと。

別に、大切にしていた訳じゃない。
ただ、今まで私の人生に恋愛という感情が存在しなかった。それは、身も心も全てさらけ出してもいいって思えるほどの人に出会わなかったということ。

それなのに。

今日会ったばかりの人と、こんなことになるなんて、日本を出発するまで、想像すらしていなかった。
会ったばかりで、付き合うと決めたばかりで、展開早くない？

でも、それくらいの方がいいのか。

丹下さんは私を知らないから。だから、これほど魅力的に思うんだろう。知れば知るほど、仕事ばかりの人生を生きるつまらない女だと気づくだろう。そうなれば、きっと丹下さんは離れてしまう。
だからこの勢いで。
私が魅力的に見えている、ハワイの魔法にかかったままで。

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