リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
 木々の隙間から僅かな木漏れ日が刺す程度の静けさが広がる森は、たまに現れる馬の存在以外は小動物の遊び場だ。
 私もロナウドの婚約者として邸に移り住んで以来、この森を散歩するのが好きになった。
 落馬の嫌な思い出があったとしても、それは私の中の記憶であって森を否定する材料にはなり得ない。

「あぁ、気持ち良い風だわ」

 ロナウドも一緒に散歩できたら素敵だったのに。 だが大事な仕事の最中だ。

「私も、ロナウドの妻に相応しくならなければね」

 人の手を借りずに歩けるようになったおかげで、気持ちも前向きになれた気がするのは気のせいではない。
 ロナウドからも、表情が明るくなったと嬉しい言葉を貰えるのだから。
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