リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
 いつものジェイと何ら変わらない。
 顎髭もボサボサの髪も。 さらに匂い立ちそうな服も。
 まるでどこかの野原で転がりまくって、遊んで来たかのような。

 それでもなお、上位貴族の品格が漂ってしまうのだから本当に不思議な人物だ。

「俺はね、この国でずっと探し物をしていたんだ」

「それは見つかりましたの?」

「あぁ。 ただ、見つけるのが遅かったのかもしれない」

「それはどうして?」

「おそらくはもう手に入らないからさ」

「見つけたのに手に入らないなんて、そんなに高価な物ですの?」

「あぁ、とても高価だ。 この世に二つとない」

「まぁ、それは残念ですね。 貴方が欲しがるのだから、きっと素晴らしく美しいでしょうに」

「とても美しいよ。 心が癒されて、側に置いておきたいと思ってしまう」

ジェイがこんなに思い、探していた何かを手に入れられないなんて、それはどうしてだろうか。
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