リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
 考えてみれば、最初からどこか可笑しかった。
 妙に距離を取っているような、よそよそしいような。 まるで招かれざるお客様への態度だったのだ。

 なのに私は以前と何も変わらないものだと思い込んでいた。 疑問に感じた事さえなかったから。

 昏睡状態に陥ってから目覚めるまでの数年が空白だとしても、私にはあの頃から数日しか経っていない感覚だった。
 ところが実際は止まる事なく、数年もの時間が過ぎていて。

 二人の間に何が起きたとしても可笑しくないのに。 私にはそれがまるでわかっていなかった。

 まるで、道化だ。

「リリィ、具合でも悪いのかい?」

「大丈夫よ」

「だが、あまり喋っていないよ。 ずっと上の空だ」

「そうだったかしら。 また眠くなってしまったのかもしれないわね」

「リリィ?」
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