お嬢の神隠し
よし、裏に回って塀を越えよう。

案外高いかも、でも飛び越えないと。

そしてわたしは塀を登って、飛び降りた。

見事着地、運動神経は我ながら優れていると思う。

髪を整え歩こうとした時。


「おい」

声に反応し前を向くと、そこには綺麗な黒髪で高身長な男が立っていた。

え、待って。さっきの見られた?

入学早々、遅刻し門は閉まっているから塀を飛び越えてきたことを、チクられたら結構、わたしヤバイかもしれない。

「あのー、なんですか?」とりあえず、返事をしてみる。

けど、相手は黙ったまま。

シカト?なにそれ。

もういい、そして再び歩き始めた。



しかし、男に腕を掴まれた。

なに、こいつ。
いきなり話しかけといて返事をすればシカト。あげくのはてに、強い力で腕も掴まれる。

わたしは思いっきり睨みつけた。

「なに、もぉ行っていい?」

てか、早く行かないとほんとにヤバイ。

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