触れないで、杏里先輩!
とりあえずダッシュして校門を抜けて、そのままのペースで教室に逃げ込んだ。

ぜー、はー、ぜー、はー……

息が整ってくれない。
運動不足なのと空腹のせいもあるけれど。

突然の出来事に頭がパンクしそうだった私は、あの場から走って逃げ出した。

男子と久々に会話した気がする。
この前話したのは、多分中学の修学旅行。
何処を周るか相談した時だ。
やむ終えず会話をした。
それよりもだ、意味が分からない。
杏里先輩が付き合ってって。
地味子の私に。
本気なわけがない。

ない、よね……?


「おはよう、美桜。今日は休みかと思ったよ。いつもより遅めだね。ってか、そんな息切らさなくてもまだ予鈴まで時間あるよ?」

亜季ちゃんの方が先に登校していた。
こんなことは初めてのこと。
私がいつもは教室に一番乗りなのに。
今日はそんな教室がもう半分以上は埋まっている。
厄日なのかもしれない。

「どうかした?」

呆然としていた私を不思議に思ったのか、亜季ちゃんが小首を傾げて問い掛けてきた。
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