愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 俺のダメな部分はもう散々見てきただろうが、君に感謝している気持ちも伝えたい。

「酒に弱いんだな」

「え?」

 星光はほんのり赤くなった頬をさらに染める。

 明日は休みだからと開けたワインは、彼女にもグラスを持ってきて勧めていた。
 まだ二杯目なのに、髪を掛けているから見えている耳たぶまでもが赤い。

「もしかして赤いですか? その日の体調によって差があって」

 そうなのか。ずっと酒には強いのかと思っていた。

 照れる彼女は思いの外かわいらしい。
 手を伸ばして、抱きしめたいと、ふと思った。

 星光、君の気持ちはもう誰かへ向かっているのか?

 今日の夕方、会社に思わぬ来客があった。

 星光の兄、花菱飛翔が来たのである。

『離婚が成立したら、仁と結婚させる。仁は星光の初恋の相手だからな、異存はないだろう』
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