一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
半分震える声で恐る恐る尋ねたら、彼が私の肩に顎を乗せてククッと笑いを堪えている。
お、お、起きてる!
どうしよう!
もう昨日みたいに逃げられない。
恐怖で石化する私。
「おはよう、雪乃。沖田くんじゃなくて怜だよ」
私に向かって笑う彼が悪魔に見えた。
それくらい精神的に追い込まれているのだろう。
とりあえずなにか言わなければ。
「……おはよう」
挨拶だけ返すが、他になにを言っていいのかわからない。
頭の中が真っ白になる。
「凄く困った顔してる。昨日忠告したのに酒をあんなに飲むから、酔い潰れて俺にお持ち帰りされるんだよ。これに懲りて外ではあまり飲まない方がいい」
朝から彼にお説教され、「ごめんなさい」と小声で謝る。
「まあ最初から俺は雪乃を持ち帰る気でいたけどね。全然大事な話ができていないし」
彼が真剣な眼差しを向けてきて狼狽えた。
「大事な話なんて……ない」
冷たく答えて距離を置こうとするが、彼は私を解放してはくれない。
「雪乃は一昨日の晩のことをなかったことにしたいのか?」
なかったことになんかしない。

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