転生令嬢~彼が殺しにやって来る~
その門をくぐる時
 図書室に行く時、中庭を散歩する時、寮に戻る時、その度にネヴィル様は側にいてくれる。
 それが当然だ、それが自分の役目だから、そんな風に自然な態度で。

 だが、今までならきっとこう言っていたはずだ。

『図書室? 時間を忘れてしまわないようにね』

『散歩? 俺はもう歩いて来たよ』

 一緒に行こうと言われた事はなかった。

 最近のネヴィル様はまるで忘れていた記憶を思い出したかのようだ。 私が婚約者だという事実を。

「エマ様はいつ、お戻りになられるのですか?」

 ネヴィル様に聞いた。
 きっといつ戻るか、彼女から聞かされているのだろうと思ったからだ。
 婚約者でもないエマ様の動向をネヴィル様が知る事は本来ないのに、知っているはずだと前提で話す私は嫌な人間だ。


 そしてネヴィル様は答える時、少し俯き加減になった。

「明日、そう聞いているよ」

「そうですか」
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