昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

『俺じゃ、役に立てないかな』


ボロボロの彼女に、俺はそう申し出た。


『こうやって会って、話す練習するとか。リハビリみたいに重ねていったら、永田さんの怖さを取り除くこと、できるかなって』


良い人のような振る舞い。でもあれは、俺が善人だからじゃない。


【大丈夫?】


交流のはじまりの、ノートの書き込み。

あれだって、善意なんかじゃないんだ。


『俺と話そう、永田さん』


彼女に優しくするのは、ただ、都合がよかったから。

……それだけだ。



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