エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「月城さん……?」

 そこで彼の腕が私を離し、ドサッとベッドの上に落とされた。

 絶句している私に、月城さんは先ほどとは打って変わった冷たい視線を向ける。

「演技はここまでだ。そのおっとりした考えをもっと直した方がいいな」

 ささやきに近い声で叱咤され、言い返す間もなく彼はドアから出ていった。

 バタンと閉められた音で息をひそめていたのに気づき、「っ、はぁ~」と深呼吸をする。

「な、なんなのっ? あの人っ」

 私をドキドキさせるだけさせて、いえ、どうこうなるなんてこれっぽっちも思っていないけれど、言いたいことだけ言って立ち去っていくなんて。

 でも彼の言う通り、たしかに私は危機感がなかったのには反省だ。

 あの高層タワーから盗撮されていたと想像したら思わず身震いした。もしかしたら盗聴もあり得るのだ。

 業者に頼んで確認してもらわなきゃ。
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