愛しの彼に溺愛~石油王の場合~
リビングと繋がっている和室の座布団に座る。
最初にお父さんが座り、テーブル向かいにアキさんその横に私。
最後にお茶を用意してくれたお母さんがお父さんの横に座った。

なんだか緊張してくる…。


「私は弥生の母の小林皐月(さつき)です。こちらが夫の師走(しわす)です。よろしくね。アキさん」
「はい。よろしくお願いします」
「あらあら、そんなに緊張しなくても!ねぇ、アナタ」
「あぁ。あぁ!これから家族になるんだからなぁ」


そうにこやかに話す二人に毒気を抜かれたのか力が抜ける。

アキさんもそうだったのか、力強く握っていた拳が少し緩くなっている。
こういう小さい変化に気づけるようになったのは最近だ。

こういうところは凄く可愛い…。

強制的に同棲が決まったあの日から、アキさんは私に凄い気を遣ってくれている。
というか…、アプローチしてくれている。
うーん…、甘やかしてくれている感じなのかな?

兎に角すっごく優しくて情熱的で余裕そうなのだ。
そんな彼の可愛らしい一面がこんなにも愛おしい。

私はそっと、彼の手に自分の手を添える。

それに気づいたのかアキさんはこちらを驚いたように見た後、手を握り返してくれた。

私よりも大きくて少しゴツゴツした手。
その手にはお揃いの婚約指輪。

”大丈夫だよ”そう伝えるようにアキさんを見つめる。
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