俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。〜交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されてます〜
 朝六時。既に外は明るくなり雀かなにかの鳥の声がチュンチュン聞こえてくる。爽やかな朝なのに気分はどんより雲のよう。あどけない寝顔でぐっすり眠っている美桜を起こさないように静かにベットから降りTシャツとデニムを手に持ち寝室を出た。
 美桜が起きた時に用におにぎりと味噌汁の準備をし、マンションを出る。今から向かう場所は車で二十分ほどのアパートの一室だ。東に向かって走るので朝日が物凄く眩しい。

 来客用の駐車場に止め、アパートのインターホンを押す。

「はい、隆一さんですね、今開けます」

 幸の薄いと言ったら悪い言い方だか、本当に張りのない細々とした声質の男の声。
 ガチャリと出てきた男は声にぴったり当てはまるような黒髪短髪のヒョロリとした体型、目は一重で細く、けれど雰囲気は優しいオーラが漂いまくっている。

「広志(ひろし)さん、おはよう御座います。今日は呼び出されて来ました」

「先生から伺ってます。今締め切りの佳境でかなり先生も参っているみたいなので……」

 申し訳なさそうな広志さんの態度から、だから呼び出されたのかと納得した。

「隆一〜? 来たなら早く入って! やる事いっぱいあるわよ!」

 あぁ、悪夢がこれから始まると思うとアパートに入るあと一歩が踏み出せない。入ったら地獄の始まりだ。
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