すべてが始まる夜に
ゲートを通って機内に乗り込み、往路と同様に部長と2列並びの席に座る。
「帰りも富士山見えるかな」
窓の外を眺めながらそう呟くと、「残念ながら富士山は見えないぞ」と横から声が聞こえてきた。
「えっ、見えないんですか? こんなに晴れてるのに? あっ、もしかして富士山の上を通るころには暗くなるから?」
「違う違う。こっち側の席だと富士山は見えないんだよ。行きは俺たちあっち側の席だったから見えたんだ」
「えー、知らなかった。空の上からだとどこからでも富士山が見えるんだと思ってた」
「福岡便は行きも帰りも左側の席からじゃないと富士山は見えないよ。そんなに富士山が見たいなら次に福岡行くときは左側の席を取ったらいいよ」
次に福岡に行くときって、そんなのいつになるか分からない。
でも今回の新しいカフェが出来たら、あのギャラリーがどんな風に『カフェ ラルジュ』として変化したのか、休日に左側の席を取って見に行ってみよう。
そしたら今度はもつ鍋と水炊きを食べてみたいな。
あっ、鯛茶はもう一回食べよっと。
そんなことを考えていると、次にここに来るのは3月だな──と部長がひとりごとのように呟いた。
えっ? と部長の顔を見る。
「次はおそらく新店舗開店の時に行くことになるだろうから3月末だと思う。そのときは忘れずに左側の席を取れよ」
「わっ、私も新店舗開店の時って福岡に行くんですか?」
「当たり前だろ。担当者なんだから。自分が手掛けたカフェを見てみたいだろ?」
部長はそう言って口元で弧を描いた。
新しくなったあのギャラリーカフェがもう一度見れるなんて楽しみで仕方がない。
東京に帰ったらすぐに企画書作りに取りかからなきゃ!
自分が手掛ける新しい『カフェ ラルジュ』が形になったことを思い浮かべながら、私は嬉しくて頬を緩ませた。
「帰りも富士山見えるかな」
窓の外を眺めながらそう呟くと、「残念ながら富士山は見えないぞ」と横から声が聞こえてきた。
「えっ、見えないんですか? こんなに晴れてるのに? あっ、もしかして富士山の上を通るころには暗くなるから?」
「違う違う。こっち側の席だと富士山は見えないんだよ。行きは俺たちあっち側の席だったから見えたんだ」
「えー、知らなかった。空の上からだとどこからでも富士山が見えるんだと思ってた」
「福岡便は行きも帰りも左側の席からじゃないと富士山は見えないよ。そんなに富士山が見たいなら次に福岡行くときは左側の席を取ったらいいよ」
次に福岡に行くときって、そんなのいつになるか分からない。
でも今回の新しいカフェが出来たら、あのギャラリーがどんな風に『カフェ ラルジュ』として変化したのか、休日に左側の席を取って見に行ってみよう。
そしたら今度はもつ鍋と水炊きを食べてみたいな。
あっ、鯛茶はもう一回食べよっと。
そんなことを考えていると、次にここに来るのは3月だな──と部長がひとりごとのように呟いた。
えっ? と部長の顔を見る。
「次はおそらく新店舗開店の時に行くことになるだろうから3月末だと思う。そのときは忘れずに左側の席を取れよ」
「わっ、私も新店舗開店の時って福岡に行くんですか?」
「当たり前だろ。担当者なんだから。自分が手掛けたカフェを見てみたいだろ?」
部長はそう言って口元で弧を描いた。
新しくなったあのギャラリーカフェがもう一度見れるなんて楽しみで仕方がない。
東京に帰ったらすぐに企画書作りに取りかからなきゃ!
自分が手掛ける新しい『カフェ ラルジュ』が形になったことを思い浮かべながら、私は嬉しくて頬を緩ませた。