すべてが始まる夜に
クリスマスプレゼント
目を開けると部屋の中は真っ暗だった。
窓から零れてくる光もなく、隣からは部長の寝息が聞こえてくる。どうやら私は部長に抱かれたあと、寝てしまったようだ。何も見えない中で目を開けていると、段々と目が慣れてきて、部屋の様子が見え始めた。

ゆっくりと音を立てないように寝返りを打ち、部長の方に顔を向ける。睫毛の長い整った顔が真正面に見え、思わず息を呑み込んだ。

部長って、眠ってても整った顔してるよね。
ほんとにかっこいいな。

今までもレッスンで部長と一緒のベッドで眠ってはいたけれど、自分のことでいっぱい過ぎて部長の寝顔を見る余裕なんて全くなかった。
男性としての色気のある寝顔に、ドキン──と胸の奥で音が鳴る。

こんなかっこよくて、優しくて、尊敬できる部長が、ほんとに私の彼氏なんだ……。
夢じゃないんだ……。

部長の寝顔を見つめながら、昨日の朝からの出来事をひとつひとつ思い返していく。
本当に素敵なクリスマスイブだった。
あんな幸せなクリスマスイブは初めてだった。
私にもこんな風に思える日が来るなんて……。

愛おしさと幸せを感じていると、ほんの少し窓の外の暗さが和らいだような気がしてきた。

今何時なんだろう?

部長を起こさないようにそっとベッドから出て、テーブルに置いていたスマホを見る。
するとあと数分で6時になろうとしていた。
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