暴君王子の恋の瞳に、私は映らない
ドアを閉め終える寸前。
鞭光君が見える隙間なんて
5センチしかないこの状態で
『……から』
ベッドに座る、彼の口元が動いた。
弱々しい声が、聞きとれなくて
ドアを閉める手を止め
たった5センチの隙間から、彼を見つめてしまう。
「彼女役とか……いらねぇから……」
「……」
「墓で俺が言ったことも
オマエが俺の部屋に来たことも、
全部忘れろよ!!」
「……」
「学校でも、一切、俺に関わるな!」