暴君王子の恋の瞳に、私は映らない



驚きが、私の体中を駆け巡る。



ぴょこん!


肩が、わかりやすく飛び跳ねちゃった。





望愛ちゃんを、初めて見たけれど

守ってあげたくなる感じの、可愛い子だなぁ。




背が小さくて。



ちょっとぽっちゃり系だけど

ふんわりした雰囲気が

優しい系の女の子らしさを、醸し出している。



身長174センチで、出るとこが出ていない

がっかり体型な私。




望愛ちゃんと自分を、比べれば比べるほど


『私は、見た目も雰囲気も
 鞭光君の好みのタイプではない』


その現実を突きつけられ、悲しくなるよ。





自分が惨めで

この場から逃げたくなっちゃって



「雨宮君。
 ぶつかっちゃって、本当にごめんね」



地面を蹴り上げようとしたけれど


私の足は、地面から離れなくなっちゃった。




だって……



「……グミ」



望愛ちゃんの後ろから、鞭光君が顔を出し



「昨日は……悪かったな……」



なぜか私に、謝ってきたから。



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