暴君王子の恋の瞳に、私は映らない
泣きそうなほど辛い思いをごまかすように、
顔がクシャっとなるほど
思いっきり笑ってみた。
「明日から、送り迎えしなくていいからね」
そんなことを言いながらも
グミは、人を欺くタイプじゃないだろ?
俺を騙せると思ったのかよ?
いじり笑いで、私の頭を撫でてくれないかな?
なんて
暴君王子を大好きな私の心が
虚しい期待をしてしまう。
でももちろん
鞭光君の口から、そんな優しい言葉は出てこない。
裏切られた絶望を刃にしたような
鋭い目を、私に突き刺した鞭光くんは
「拒絶したいほど大嫌いな女は、
一生、俺の目に映さねぇよ」
私に背中を向け、帰っていった。