暴君王子の恋の瞳に、私は映らない



「俺の頭の中、
 グミへの憎しみしかねぇ」と

唸り声をあげ


弁当ポーチを乱暴に床に置き

天井を見上げるように、寝そべていると


いきなり、講堂のドアが開いた。




バタバタと走ってきた奴は

無視して寝そべったままの俺の真上に

泣き顔を浮かべている。




こいつ……



グミとよく話してる、カタツムリ女。


確か名前は……安西(あんざい)



鞭光(むりみつ)君……助けて欲しいの……」



いきなり、なんだよ?



「とりあえず、泣き止めって」



オマエの涙

俺の顔に、降ってきてんだから。



「どうしよう……
 私……取り返しのつかないこと……
 しちゃった……」



泣き止めって忠告したのに

どんどん涙が、溢れてんじゃん。



なんで、俺のとこに来て泣いてるわけ?



俺、オマエに話しかけられたの

初めてだよな?



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