暴君王子の恋の瞳に、私は映らない
「自分が辛いときに
敢えて笑いをぶちこむ気遣いは、
つぐみと同類っぽいぜ。そいつ」
『私の着せ替え人形ちゃんと……同類?』
「姉貴より一つ年下だけどさ。
つぐみのいとこだし。
笑った顔とか、優しそうな雰囲気とか、
つぐみに似てるとこも、結構あるぞ」
どうだ!
姉貴好みの、いい男だろ?
『それはそれは。
今からでも捕食したいくらい、魅力的な男ね』
許せな、姉貴。
そいつには、ガチで好きな女がいるんだ。
もうこの世にいない女だから
あとは姉貴の
頑張り次第って感じだけど……
『一週間以内に、つぐみちゃんのいとこさんに
会わせるのが条件ってことで、どう?』
「交渉成立だな!」
俺は安堵のため息を吐くと
「10分で行くから。
つぐみのこと、よろしく」
姉貴に電話越しで頼みこみ、
俺は、思いっきり走り出した。