【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
油断させ、追い詰め、囲んでから叩く。
「お嬢さん。こちらはお返しいただきますよ?」
淀む空気の中、すっきりとした香りが漂う。
その香りの持ち主は、見なくてもわかる――直真だ。
マンションの鍵を背後から、直真はスッと奪う。
「きゃっ! け、気配がなかったわよ!」
大騒ぎしかけた梨沙に、顔を寄せ、直真は耳元で甘く囁く。
「瑞生さんに夢中で、気づいていませんでしたか?」
美しい美貌と誘う声音。
たったそれだけで、普通の女性は堕ちる。
案の定、直真の毒にやられ、真っ赤な顔をし、指を震わせていた。
直真が自分を使い誘惑しようとしているのは、目に見えて明らかだ。
俺の代わりに自分を差し出し、この女を堕とし、口を割らせ、美桜の居場所を吐かせるつもりなのだろう。
「直真。やめろ」
「……ですが」
「お前は俺の兄だ。宮ノ入のトップに立つ俺の兄だ」
直真は驚き、そして微笑むと、鍵を梨沙の手に戻す。
「失礼しました」
俺のそばへやってくると、直真は小声で言った。
「申し訳ありません。出過ぎた真似をしました」
「いや」
俺と直真は、お互いの思考が近い。
「お嬢さん。こちらはお返しいただきますよ?」
淀む空気の中、すっきりとした香りが漂う。
その香りの持ち主は、見なくてもわかる――直真だ。
マンションの鍵を背後から、直真はスッと奪う。
「きゃっ! け、気配がなかったわよ!」
大騒ぎしかけた梨沙に、顔を寄せ、直真は耳元で甘く囁く。
「瑞生さんに夢中で、気づいていませんでしたか?」
美しい美貌と誘う声音。
たったそれだけで、普通の女性は堕ちる。
案の定、直真の毒にやられ、真っ赤な顔をし、指を震わせていた。
直真が自分を使い誘惑しようとしているのは、目に見えて明らかだ。
俺の代わりに自分を差し出し、この女を堕とし、口を割らせ、美桜の居場所を吐かせるつもりなのだろう。
「直真。やめろ」
「……ですが」
「お前は俺の兄だ。宮ノ入のトップに立つ俺の兄だ」
直真は驚き、そして微笑むと、鍵を梨沙の手に戻す。
「失礼しました」
俺のそばへやってくると、直真は小声で言った。
「申し訳ありません。出過ぎた真似をしました」
「いや」
俺と直真は、お互いの思考が近い。