若き社長は婚約者の姉を溺愛する
お留守番は楽じゃない
 眩しい――そして、静かだ。
 電車の音もしないし、私を急がせるアラームの音もない。
 
 ――アラーム音がない!?

 バッと起き上がった。 

「大変です! も、もう昼じゃないですかっ!」
 
 バサッとシーツが落ちて、全裸の自分に気づき、声にならない悲鳴を上げた。
 起き上がった私の体を大きな手が掴み、再びベッドの中へ引きずり戻す。

「瑞生さっ……ん、駄目です。もう朝っ……」

 無言でキスを繰り返し、私の体を飽くことなく嬲る。
 すでに私の体には、赤い痕がいくつも残っているというのに、その独占欲には終わりがない。

「朝じゃなくて、昼ですよっ!」

 ぺちっと額を叩くと、瑞生さんはさすがに動きを止めた。

「あー……。しまった。もう昼か」

 瑞生さんはようやく冷静になったのか、時計を手にして、やらかしたという顔をしていた。

「寝すぎた。体が柔らかくて、抱き心地がよかったからだな」
「真面目な顔で、生々しく言わないでくださいっ!」

 渋々、瑞生さんはベッドから出る。
 その背中からは、『休みたい』という空気が漂っていたけど、肩越しに振り返り、私が近くにいるのを確認して微笑んだ。

「仕事に行ってくる。美桜との時間を作りたいからな」
「は、はい……」
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