怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~


「それに、裁判によっては世間の反感を買う場合もあるし、憎まれて恨みを買う場合もある。そうなったときの弁護士は嫌われ者だ。でもそんなことをいちいち気にしていたら仕事にならないからあまり深くは考えないようにはしているけど、敵を作る可能性があるなら自分の身は自分で守らないと。俺も命は大切だ」


 だから悠正さんはこのマンションを選んで暮らしているのだと理解する。それと同時に弁護士という仕事は危険を感じることが多い仕事なのかもしれないと改めて気付かされた。

 実際に悠正さんは過去に危ない目にあったことがあるみたいだし……。


「ごめん。こんなことを言ったら俺と一緒に暮らす優月まで不安になるよな」

「い、いえ。私は大丈夫です」

「本当? さっきから顔が引きつってるけど」


 悠正さんがクスッと笑うのを見て、私はとっさに手で自分の頬を触る。そんなにわかりやすく怯えた表情をしていただろうか。でも、正直に言うと不安になってしまった。

 取り扱う案件によっては身の危険をはらむ悠正さんと一緒にいることで、もしも私にまで危害が及んだらどうしようかと想像するとちょっとこわい。

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