京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。
「無理をしてはいけません。病院へ行きたくないのなら、僕の知り合いに見てもらいましょう。小さな診療所をしていて、腕は確かですから」


それは有無も言わさぬ声色だった。


少し怒りを怯えているその声に私はうなだれてしまう。


「ごめんなさい……」


「構いません」


純一はそう言うと包み込むような優しい笑顔を浮かべたのだった。
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