あの日、雪が降っていてよかった。【完】
『……雪村なら、さっき屋上に向かったよ、』


はやく行ってあげな、と

仁さんは私に耳うちすると

ぽん、と私の背中を軽く押した。


「す、すみませんっ、行ってきますっ…!」


校舎内の階段を

1階段から4階段まで駆け上がって

がらんとした3年生の教室が並ぶ廊下を

私はただ無我夢中で走る。

息が上がって呼吸は苦しいのに

今はそんなこと、どうでもよかった。
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