10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

「果歩ちゃん、なにニヤニヤして。いいことあった?」

 声が聞こえて、顔をあげるとやっぱり島原先生。
 そう言えば、今日は島原先生と話があるって病院長が言っていた。

 時計を見ると、約束の時間の5分前。
 病院長が部屋を出る時に、遅れても数分だからもし島原先生が来たら待ってもらってと言われていたんだ。

 慌てて立ち上がると島原先生の前まで行く。

「病院長は?」
「今、少し外してて。すぐに戻られるので、少し遅れてしまっても待っていてほしいとおっしゃってました」
「そうなんだ。ならここで少し待たせてもらうね」
「はい」

 私は頷いて、島原先生と少し話す時間があって、ちょうどよかったと思った。島原先生に言いたいことがあったのだ。
 私は島原先生の顔を見ると、口を開く。
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