10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 ふとベッサイドにメモがあることに気づく。
 先生のキレイな字で、シーツだけランドリーバッグに入れて玄関先に出しておいて、と書いてある。

 誰のものかわからない汗でぐしゃぐしゃになったシーツを見て、顔が熱くなった。

 それくらい自分で洗うのに……恥ずかしいし、と思って下を見てみると、『ただシーツだけだと果歩が恥ずかしいと思うだろうから、シャツと服も何枚か一緒に出すように用意していれてるからね』と書いてある。

(この人は、なんで私の考えていることがわかるのだろうか……)

 そうは思うが、それがイヤじゃない自分がいて、息を吐いた。

 そうしていると、出勤時間が近いことに気が付き、あわててシーツをランドリーバッグに押し込んで部屋から出すと、バスルームに直行した。
< 181 / 333 >

この作品をシェア

pagetop