10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 最近家でずっと抱きあっていたけど、家でない場所でこんなことをされるとやけにドキドキする。
 そう思ったのが分かったのか、先生はクスリと笑って、そのまま私を自分の方に向かせてキスをした。

「たまにはね、家でない場所で果歩を抱きたいって思ったの」
「だっ……だめです……」
「なんで?」
「見えちゃう」

 やけに窓が広くて夜景が一望できて、こんなところで、裸にされるのはいつもよりさらに羞恥心がくすぐられる。
 見えることはないと思うのだけど、それでも遠くのビルから見えてしまいそうで怖い。


 先生はそんなことを考えている私の身体中にキスを落としながら、

「見せてるの。果歩がちゃんと愛されてるってところ」

 そう言うと、そのままいつもより長く、深くキスをして、いつも以上にゆっくりじっくりと私の身体に愛を刻みつけていった。
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