10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

「私……。昨日の大和さんに驚いたけど……別にこういうことされるのも、イヤじゃなかった」


 思わずそんなことを言っていた。
 すると先生は少し驚いた顔をして、私を見る。

 次の瞬間、先生は私を抱きしめて息を吐く。

「ちょ……なんですか?」
「果歩ってさ、ホント騙されやすそうで心配になる……。俺以外に、絶対騙されないでよ」

 先生にも騙されてないわよ、と少しむっとしたけど、先生に抱きしめられたときに伝わってきた先生の体温が気持ちよくて、私は目を瞑った。
< 253 / 333 >

この作品をシェア

pagetop