10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 恐る恐る聞くと、大和先生は恥ずかしそうに少し笑ってから口を開いた。


「あぁ、あれはただの……ヤキモチ」
「ヤキモチ?」
「ヤキモチ、嫉妬……まぁ、色々、そのようなもの」

 その言葉に、驚く。

「な、なんで……? 目を合わせるから?」

 暗示でヤキモチやくとかおかしな話だ。そう言えば以前、長く目を合わせてほしくないって言ってたけど、それだろうか。
 そんなことを思っていると、大和先生はまた口を開いた。

「それもあるけど……。暗示をかけるための条件の一つに『暗示をかけられるのが人の場合、かけられる人はかける人間に対して好意を持っていること』ってのがあるからね」

 そして続ける。「つまり、果歩が暗示をかけようとして、相手がかかったとしたら、その相手は果歩に好意を持っているんだ。それ、わざわざ知りたくないでしょ。俺も、それに、果歩も」

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