10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 そしてふと考えが止まった。
 この気持ちは、家族としての愛情と恋愛としての愛情……一体どちらなのだろうか……。


―――あ、もし果歩の事、女の子として好きになっても、果歩が20歳超えるまで絶対手は出さないでよ!

 ふと歩さんの声が脳裏に響く。
 なんで今、よりによって歩さんのあの言葉なんて思い出すんだ。


 それでも……

「あと2年、か」

 そう呟いて、俺はこの部屋の香りにやられそうだとすぐに部屋を出た。

< 307 / 333 >

この作品をシェア

pagetop