【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


 そんな時、医者は無力なんだと感じさせられる。……医者だって人間だ。うまく行かないことの方が多い。
 失敗を繰り返しながら、わたしたちは日々成長していくんだ。 泣いたり悔やんだり、色んな感情を思い知ることの方が多い。

「……医者って、メンタル強くならないとキツイ仕事ですよね」

 わたしがそう言うと、四方木先生は「え?」と返事をした。

「わたしも救命医に向いてないなって、ずっとそう思ってました。……助けられる命が助けることが出来なかった時は、本当に悔しくて泣きました。自分の無力さに気付いて腹が立って、何でもっと早く助けてあげられなかったんだろうって、後悔したこともありました」

 四方木先生はわたしの話を、黙って聞いていた。

「けど医療にはどうしても、限界があるって分かってます。……だからこそわたしは、その誰かの分まで生きていけるように、精一杯頑張っていきたいんです。 医者として、救命医として、正義とまでは言わないけど……。誰かのヒーローみたいな、そんな存在感のある医者になりたいんです」

 北斗さんみたいに完璧にはなれないけど、わたしらしく頑張りたい。
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