【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


「……まぁ少なくとも、外科よりは向いてると、俺も思ってますけどね」

 普段はあまり自分のことを話さない松村先生が、これだけ自分のことを話してくれるのは珍しい。
 だからこそ、松村先生がいい医者だということを誰よりも知っていたい。

「そうですよ。 松村先生のその外科で学んできた知識があったからこそ、この前の大動脈解離の患者さんも助けることが出来た訳ですし……。松村先生には、いつも感謝しています」

 とわたしが言うと、松村先生は「……どうしたんですか、楠先生。今日はやたら褒めてきますね。……なんか気持ち悪いですね」と困惑した顔で言ってきた。

「えっ、気持ち悪いですか……!?」

 まさかそんなことを言われるなんて……!

「いや、そうじゃなくて……。なんていうか、あんまり普段褒められることがないので、ちょっと困ってしまっただけです。……あまり気にしないでください」

 わたしの表情を見た松村先生は、フォローするかのようにそう言ってきた。

「な、なんかすみません……」
 
「……いえ。俺の方こそ、すみません」

 そう思った時、救命のホットラインが鳴り響いた。
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