俺が好きなのは、世界一可愛い君

不意に、可愛らしい声が、俺の鼓膜を揺らした。



怜ちゃんは、毎回のように、俺の名前を呼び、そして、満面の笑みで迎えてくれる。



彼女は、それが毎回俺の心臓をわしづかみにしているとは、思ってもいないのだろう。



生徒の大半が学校をでた頃、俺達は揃って学校を出て、人通りの少ない道を選んで通り、学校からも近い家へと帰る。



怜ちゃん自身が同じ学校の人に知られたくないと思っているのもあるが、単に怜ちゃんを俺が他の奴らに見せてやりたくないと思ってのことだと、怜ちゃんは気づいているだろうか?
  


怜ちゃんの家により、少し談笑して、またねとさよならを告げる。
                   

そんな1日のルーティーンを終え、怜ちゃんの笑顔に癒されながら家路についた俺は、その笑顔を自分の手で歪ませる日が来るなんて、これっぽっちも思っていなかった。

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