わんこ系男子と甘々な日常


こんなに力があったのかと驚きながらも抵抗する私。


それからパッと離れた蒼空くんは私を置いてグラウンドへ走って戻っていき、ぽつんと置いていかれた私に痛いほどの視線が突き刺さった。


だけど、そのときの私はそれにも気づくことなく……


『今のは、よくないよ……』


一人、きっと赤くなった顔を手で覆い隠した。


……耳まで熱い。なにこれ。


ってか、自分の気が済んだからって急にどっか行くのなんなの。


人との距離なんて存在しないんじゃないかと疑ってしまうくらいスキンシップが激しい蒼空くんは間違いなく変だ。


抱き締められるのは初めてじゃない。


これまでに何回か勢い軽く抱きつかれ、その度に一瞬で離れて何事もなかったかのように笑顔を向けられる。


だから、今まで意識したことなんて一度もなくて、これもじゃれ合いみたいなものだってわかってるのに。



……バカみたいに心臓の音が大きく鳴っているのを、静めることができなかったんだ。


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