彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
陰口
翌日になっても相変わらず空は青かった。


眩しいくらいの太陽光に目を細めて高校への道を1人で歩く。


高校は小学校とは逆側にあるから、あの横断歩道を歩くかなくても良い。


それだけでも私の心は少しだけ穏やかになることができる。


今日は頑張ろう。


雪ちゃんのことをちゃんと認識しよう。


そう思って1年A組の教室へ入る。


「おはよう」


と、昨日と同じように声をかけると、昨日と同じように返事があって、胸をなでおろす。


よかった。


昨日は少し失敗したけれど、それだけで無視されるようなことはなかったみだいだ。


自分がひどくマイナス思考になっていただけだとわかって、内心苦笑いを浮かべる。


自分の席へ向かうとすでに雪ちゃんが来ていた。


「おはよう雪ちゃん」


変わらない調子でそう言うと、相手はとまどったように身じろぎをして椅子から立ち上がった。


「あ、ごめんね矢沢さん。飯田さんまだ来てなかったから、椅子をかりていたの」


相手は雪ちゃんとは全然違う声でそう言った。


「あ、え、ご、ごめんなさい!」


私は真っ青になって頭を下げる。


雪ちゃんの席に座っているからといって、雪ちゃん本人とは限らないのだ。


もっと相手の癖とか、体型とかをちゃんと覚えなきゃいけない。
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