彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
特別学級
「矢沢さんのクラスでは、数学はどこまで進んでいますか?」


「えっと、5ページ目です」


成り行きで特別学級の授業を受けることになった私は、さっきの女の子、景子ちゃんの隣の席に座っていた。


ここでは席の順番は決められていないようで、毎回好きな場所に座るらしい。


「それじゃこっちのほうが少し早く進んでるのかな」


先生が教科書を確認して言った。


「え!?」


思わず声を上げて驚いて、注目を浴びてしまう。


私は慌ててうつむいた。


「このクラスの子たちは頭がいいからね。どんどん先に進んじゃうんだ」


先生は今度は困ったような声になって言った。


そうなんだ。


特別学級というくらいだから、授業についていけていない子もいるのかと思っていた。


でもそうではないらしい。


とことん自分が誤解していたことがわかってきて、恥ずかしくなった。
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