彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「話は変わるけど、このクラスは校舎裏の花壇の世話もしてるんだ」


「花壇ですか?」


私は首をかしげる。


入学してから校舎裏には1度も行ったことがないことに気がついた。


「あぁ。A組にだって色々と係や委員はあるだろう? そういうもんだ」


先生の説明に納得する。


花壇係ということらしい。


「で、今日からは矢沢にやってほしいんだけど、どうかな?」


「え、私ですか?」


私は自分を指差して目を丸くした。


今日始めて特別学級で勉強を初めて、右も左もわからない状況だ。


「そう。花壇の手入れは放課後、水やりをするだけでいい」


「あ、それくらいならできます」


花の世話なんてやったことがないから、どうしようかと焦ったところだったので胸をなでおろした。


草むしりとか、肥料やりとか、やることは沢山あるのかと思っていた。


「そうか。じゃあ引き受けてくれる?」


「はい」


私は大きく頷いたのだった。
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