拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
1年前までは、特に用事がなくても、元気か?とメッセージのやり取りをしていたし、たまに電話で話もしていた。
それにしても久しぶりすぎるし、牧野くんに彼女がいる、と知ってからは、私から連絡することは一切していなかった。

迷ったが、通話ボタンを押してスマホを耳に当てる。

「もしもし・・・」

「あの、牧野ですけど、満里子?」

「うん。・・・久しぶり」

「久しぶり。元気?」

「元気だよ」

「全然連絡してなかったから・・・元気にしているなら、よかった」

「サッカー、調子どう?たまにテレビで試合観てるよ」

「特に大きなけがもなく、頑張ってるよ」

全試合にではないが、たまに試合にでているのはサッカーのニュースなどで知っていた。知り合いがプロサッカー選手なのは純粋に嬉しいし、応援したいと思う。

しばらくはお互いの近況を話た後、また飲み会とかあったら誘てって、と牧野くんは言った。

「練習とか試合で忙しいでしょ?」

「遠征出ちゃうときと試合の前日は無理だけど、他は大体大丈夫だから。同期のみんな元気にしてる?」

「何人かとしか連絡取ってないけどね。みんな頑張ってるよ」

「そっか。近いうち会えるの楽しみにしてるよ。じゃあ、・・また連絡する」

そう言って電話を切った。
元気な様子が伺えてよかったが・・・・・・特に何か用事があったわけではない様子だ。ちょっと気が向いただけだろうか?
話の流れ次第では、菅原さんと付き合っているのか?と聞いてみたい気もしたが、何となくそんな話にもならず聞けなった。

また連絡する、と言っていたが、特に意味はないだろう。

久しぶりに声を聞いたが、前みたいに胸がギューっと締め付けられるようなことはなかった。
牧野くんへの気持ちはもう残っていない。

そう思えるのに、菅原さんと付き合っているということを思うと、嫉妬に似た気持ちが込み上げてきて、感情のコントロールができなかったが、今はもう落ち着いている。もう心が乱れるようなことはなかった。

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