拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「ふっ。なんかご機嫌だな。飲んできたの?」

「和美とほんの少し。珍しく早く帰れたの。浦橋くんは仕事おわった?」

「うん、今終わって飯食ってた。」

「忙しいね。体調大丈夫?」

「大丈夫。満里子こそ大丈夫なん?」

「ふふ、大丈夫。浦橋くん、関西弁・・・」

笑いながら言うと、「え?出てた?」と少し焦ったように、こっちにいると周りもみんなそうだから、つい、と照れたように言った。

「全然いいのに。普段は仕事中も気を遣ってるの?」

「まあ、ね。同じ関西出身の人と喋るときは出ちゃうけど」

浦橋くんが関西弁でないのは最初からそうだったし、すっかり慣れてしまっているが、気を遣われてしまっているのはなんだか距離があるみたいで寂しい。

「週末は?戻ってこられそう?」

「まだ確定ではないけど・・土曜日の遅くか日曜日には戻るよ」

わかったらまた連絡ちょうだい、と言って電話を切った。
仕事で忙しいのは理解しているし、出張が続いているのも仕方がない。だけど今月は会えないし、ゆっくり話すらできていない。

今の仕事はやりがいもあり楽しいが、先輩たちとのレベルの差をみせつけられ、毎日焦ってばかりで自分のペースで仕事ができていない。プレッシャーに押しつぶされそうだ。
そんな中での浦橋くんとの時間はとても貴重だ。浦橋くんの優しさに包まれると、安心してどんなことでも乗り越えられる気がしてくる。いつも味方でいてくれると信じられる人が側にいると、強くなれる気がする。
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