拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
それなのに、彼女はいつもどおり落ち着いている。既にほかに好きな人がいるのか、元々別れた彼のことはそれほど好きではなかったのか・・・恋人と別れたのに悲壮感があまり漂っていないない。
もしかしたら、そこまで恋愛体質ではないのかもしれない。彼女の軸は仕事なのか・・・。

彼女が一人で来るようになり、2カ月もたつと、ようやく俺にも色々悩みを打ち明けてくれるようになった。
しっかりしているように見えて、ここに来るのは決まって弱っているときだということが分かった。

ポツリポツリと話すことの大半は仕事の悩みだ。
彼女の目標は常に高い。おそらく優秀な人材に囲まれて仕事をしているのだろう。
社会人1~2年目なんて、ミスもそれなりにあるだろうし、失敗することだってあるだろう。
そう思えないのは仕方ないが、彼女は自分を追い込みすぎだ。

気晴らしがしたくて酒を飲むのだろうが、飲みすぎて必ず具合が悪くなっている姿を見ると、全然憂さ晴らしになっていないのは、ほぼ毎回だ。

やはり彼氏とは別れたらしく、恋愛はもういい、などと言いながら、どうやら気になる人はいるようだ。連絡を取り合っている男がいるらしい。

店の女性客で個人的に話をするのは、和美と彼女だけだ。
他の客がたまにカウンターに座り、声をかけてくることがあるのだが、当たり障りのない返しをして、そっとその場から離れるようにしている。

いずれは親父の会社に入ろうとは思っている。
全国的に飲食店を展開している結構大きな会社だが、最近はイベントも手掛けている。
広告代理店に勤務している兄貴がそっち方面が得意なため、かなり手を入れているらしい。

俺は商社勤務だが、東南アジア方面を中心に原料の輸入業務がメインだ。
ウチの会社の中ではこじんまりとしている方の部門だ。
花形は航空機やロケット部品、医療機器などの輸出入だ。同期が何人かいるが、生活も全体的に派手好きで、かなりの遊び人だ。

今の俺はたとえ一時間だとしても、できるだけ店に出たいと考えているため、ここ一年ほどは他の奴らとは違いあまり合コンの類などは参加していないが、それ以前は人並みに顔を出し、何回かに1度はお持ち帰りもしたいた。ただ、特定の恋人はもう何年もいなかった。

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